目黒中央中学校校歌
—いのちの森に—
谷川俊太郎先生のメッセージ
目黒中央中学校の生徒の皆さんへ
ぼくは木が好きです。しなやかに立つ若木も好きだし、何百年もどっしりと立っている老木も好きです。森もいいですね。一本一本の木が、たがいにもたれあうことなく集まって、根を深く地中にはり、こずえを高く空にのばしている。春になれば芽吹き、やがて花が咲き、果樹であれば実がみのる。木と森を見てその生命力にはげまされていると、ひとりひとりの人間と、みんなでつくっているこの社会に通じるものを感じます。
そんな気持ちで校歌の歌詞を書きました。ちょっとむずかしく言うと、自立と協力と調和、それが人間を含めたいのちの本来のありかただと思うのです。私たち人間は他の生きものと形も機能も生きかたも違いますが、ともにこの地球上に生きているかぎり、たがいに無関係ではいられません。地球は人間にとっても、他の生きものにとっても、かけがえのないものですが、その地球を守るのは私たち人間の責任です。
機会があったらいちど校歌を森の中や海辺で歌ってみてください。学校で教わることが、どんなに広く深い世界とむすばれているかを感じとってもらえれば、作詞者としてうれしく思います。