研究

東山小学校の研究開発に向けて


令和6年度から令和8年度  文部科学省研究開発学校指定「柔軟な教育課程の編成」


これから求められる学び方の研究・開発に挑む


  次期学習指導要領に向けて、様々な検討が進められています。その中で、❷『多様な子どもたちを包摂する教育課程の柔軟な対応』という論点があり、子どもによる学びの自己調整と教師の指導法の在り方が問われています。これは、OECDの生徒の学習到達度調査(2022)の【自律学習】について「学校が再び休校になった場合に自律学習を行う自信があるか」という質問に対する回答で、自信がないと回答した生徒が日本は*OECD加盟国37か国中 34位の結果からもわかります。

『学習自体を、自律的に学んでいくことができるような経験を重ねることは重要であること。主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善の推進により、自ら思考し、判断・表現する機会を充実したり、児童生徒一人一人の学習進度や興味・関心等に応じて教材や学ぶ方法等を選択できるような環境を整えたりするなど、自立した学習者の育成に向けた取組を進めていく必要がある。』と述べられていました。

本校では、上記の結果も踏まえ、一斉・教師主導型だけでなく、児童が自分の学習に能動的に取り組み、自分で学習を調整する力を育成する指導法研究・開発を昨年度から進めてきました。

研究開発のベースとして、担任が教える一斉型授業から、児童が自分で学ぶ学習へ転換し、児童の学びに向かう力の育成に重点を置いています。そこで、 昨年度は、「単元内自由進度学習」の理念と内容・方法・形態を教師が学び、児童が学び方を経験することから始めました。児童の一人学びとして、学習用シートや環境づくりなどに取り組み、児童の学習状況や習熟に合った学習が可能であることや、自分のペースで学ぶことができるなど、児童の意欲や活動の様子からも効果も見られました。

一方、事前の準備や作業に多くの時間を費やすことや学習内容の視点、方法、形態などについて、本校の教員が話し合いながら、現実的な課題の解決について工夫・改善を加え、できるだけ一般化した「東山小版 自己調整学習」の試行実施に努めています。研究開発を進めていく中で、1つの単元をすべて「自己調整学習」にする方法と、単元の中間に35時間程度の「自己調整学習」を取り入れた一斉授業とのハイブリット型の授業への応用も、教員一人一人がいろんな教科で個人研究を積み重ねているところです。

また、目黒区では、全小学校が「40分授業・午前5時間制」で教育課程を編成しています。午後にある程度の時間的な余白(生み出した時間)を裁量として活用しており、これは、小学校で多く取り入れられている、いわゆる「帯の時間」のドリル的な学習ではなく、あくまでも子どもによる「自由選択学習」の時間としています。

  2回の20分間の自学自習の時間「マイスタ(マイスタディ)」、担任からの課題、自分で選択する復習や予習、教科学習の発展課題など、子どもなりの自由な学びの時間として、自ら学ぶ意欲や学び方を大切にしています。また、今後は総合的な学習の時間で身に付けた探究方法を、教科学習の中で気づきや疑問を生かした「探究」に活用しながら、学年段階に応じた自発的な学習能力の育成を目指していきたいと考えています。

  11月当日は、どの小学校でも実践できる内容・方法を、授業公開や発表でお伝えしたいと考えています。

多くの先生方や関係者の皆様においでいただき、本校の取り組みについてご意見・ご感想などをいただければ幸いです。当日は、文部科学省初等中等教育局 教育課程企画室長 栗山 和大 様から、次期学習指導要領の方向性などについてお話をお願いしています。


校長 村尾勝利