研究

研究開発の発表会を終えて


 

11月14日()に、令和6~8年度文部科学省研究開発学校・目黒区教育開発指定校として、次期学習指導要領を見据えた先行実践を通して、主題「自発的な学習能力の育成」の研究発表会を開催しました。全国各地から約420名、目黒区を合わせると620名を超える方々にご参会いただき、前向きなご意見やご感想を多数頂戴しました。ありがとうございました。

 

当日の「東山小版自己調整学習」の授業公開の内容は、6~7月の先行実践から、成果とともに課題を確認し、学年で話し合いを重ねて修正したものです。当日公開した自己調整学習で児童は一人学びを進めました。一見すると児童が何を、とのように学習しているのかが分かりづらいため、授業公開の時間に、本学習の目的・必要性・育成する資質 能力・「調整」・通常授業との違い・重点・単元構成・評価などについて学年毎に説明を行いました。参観者からは、学習のコンセプト、児童が使用している学習材の詳細、教師の役割、児童が自己調整を行うためのしかけと評価の仕方等の質問を受けました。各学年の教員は、苦労したことや成果等を自分の経験を振り返って伝えることで、改めてこの学習を進める意義について考える機会となりました。

 

授業後の研究全体会では、始めに「40分授業 午前5時間制で生み出した時間の活用」における児童のための「余白」である選択学習の時間「マイスタ」と、教育の質向上のための教員の「余白」について、次に「主体的な学びと学びに向かう力」を育成するための学習法としての「東山小版自己調整学習」の研究開発の成果と課題についていくつかの検証結果を交えて報告をしました。しかし、一番大きい本研究開発の成果は、研究発表当日の児童たちの学習への取り組みの様子や姿勢だったと考えています。

 

その後、文部科学省初等中等教育局教育課程企画室長 栗山和大 様、甲南女子大学教授 村川雅弘 様による対談「次期学習指導要領の方向性と未来像」」は、本校の研究開発に関わる40分授業・午前5時間制と生み出した時間の活用「マイスタ」と、本校独自の「自己調整学習」についての話題から始まりました。その中で「これからの日本の教育が目指す学びを具現化した先進的・革新的なものである」と、講評をいただき、研究開発を価値づけていただいたことは、本校教員の大きな励みとなりました。そして、「論点整理」の各章のポイントを押さえながら、次期学習指導要領について講師のお二人から様々な視点で方向性と未来像についてご示唆いただきました。

 

2年間の研究開発の取り組みを通して、本校教員の意識と目的は、「どう教えるか」ではなく、「どんな力を身に付けさせたいか」そのために「どう学ばせるか」という方向にシフトチェンジしていきました。

次期学習指導要領の動向を踏まえつつ、本校の研究開発は3年目の令和8年度まで続きます。40分授業 午前5時間制で生み出した時間の効果的な活用「マイスタ」と「東山小版自己調整学習」の授業の連動によって、多様な児童の学びと教育活動の質的向上を目指していきます。

 

 副校長 村上 千尋