七中日記

8日、前期終業式

公開日
2010/10/09
更新日
2010/10/09

今日のできごと

 8日(金)は前期終業式。校長先生から講話をいただきました。内容は前期のまとめと今後のことを含めノーベル賞を七中全生徒に取ってもらいたいという話でした。最後に有馬先生の指揮のもと、吹奏楽部の演奏で校歌を斉唱しました。生徒には3日間ゆっくり休んで、後期に備えてほしいと思います。
 以下、校長先生の終業式での講話です。

         「全員でノーベル賞を目指そう!」
 
                      目黒区立第七中学校長 市川 治郎

 皆さんもすでにご存知の通り、我が国の科学者である、鈴木章先生と根岸栄一先生のお二人が、この度ノーベル化学賞を受賞されました。
 お二人の授賞対象となった業績は、「有機合成におけるパラジウム触媒を用いたカップリング」とのことで、ニュースでも繰り返しその概略が説明されていますが、高度な学術的内容なので、なかなか理解するのは難しいことです。
 しかし、その技術によって、私たちが日常生活で計り知れない恩恵を受けているとのことであり、世界で認められた偉大なる日本人として、大きな誇りを感じます。
 ノーベル賞とは何か、ということについては、目黒区ではこの2年間にわたり、理科講演会の講師として、2000年度ノーベル化学賞受賞者である白川英樹先生から、直接お話を伺う機会があるので、よく知っていることと思います。
 さて、今日、前期の成績通知表が配布されます。1年生にとっては初めての成績通知になります。
 中学校の成績通知表は厳しい内容なので、覚悟してください。
 今回、思い通りの成績を達成した人、十分に達成できなかった人、それぞれに一喜一憂することと思います。
 通知表に現れているのは、前期の学習の成果を目に見える数値と文章に表したものです。今回成績の良かった人、スポーツや文化活動で表彰され、たくさん活躍した人たちには、心から、その行動が立派であったことを褒め讃えたいと思います。あなた方は第七中学校の誇りです。どうかその姿勢を保ち、さらに努力を継続していってください。
一方、通知表に表現することの難しい成果もあります。
 表彰もされないし、目にも見えにくい、数値や文章や絵では表現することの難しい、よい行動やほめられる努力を続けた人も、きっといるはずです。
 例えば、困っている友人を力付けて、勇気が出るように助けてあげた人。人前で、大声でスピーチするのは苦手だけれど、心の中ではいつも優しい気持ちがいっぱいあって、陰で人助けをしている人。電車で席を譲ったり、障害のある人々のお手伝いをしたりした人。
 そういう、よい行いをしたけれど、先生たちには知られない、表面的には目立たない、やさしい気持ちをもっているけれど形に現わすのが苦手な人たちも多いと思います。私は、そのような、美しい心をもった、勇気のある人たちのことも、大いに褒め讃えます。
 どうか、努力の成果を成績通知表に現せた人も、自らの心の奥に秘めた人も、長かった前期の学校生活をもう一度よく振り返り、残された後期に何をなすべきか、夢や目標を描き直してください。
 教育の本当の成果というものは、その結果が出るために長く時間がかかるものです。一説によると、教育の結果が明らかになるのには、20年もの時間がかかるともいわれます。
 今回、ノーベル賞を受賞されたお二人は、それぞれ第二次世界大戦前後に中学校生活を送られたのです。その時代にいったいどのような中学生であったのか。どのような教育を受けていたのか。私はとても興味があります。
 少なくとも、戦争の混乱と困窮の中で、今よりはるかに悪条件の下で学習されていたに違いありません。しかし、そのような中でも懸命に学び、自らの能力に磨きをかけ、学問と研究に打ち込んだ人々はいたのです。そしてその見事な成果は数十年後の私たちの生活を、豊かにしているのです。
 とりわけ大切なことは、お二人の活動は国内に留まらず、米国での勉学や研究へと飛躍していったことです。外国で活動するということは、いったいどれほど勇気と活力と努力を必要とすることでしょうか。
 例えば皆さんの身近には、米国から来日してALTとして英語を指導されている、リチャード先生がいらっしゃいます。
 国際社会への広い視野を学ぶためにも、日常の授業への真剣な取組みが求められています。
 さあ、今、皆さんが学んでいることの結果は、実は20年後に現れるということを、ぜひ忘れないでください。
 そして、人生でたった一度しかない中学校生活を、全力で駆け抜けて行きましょう。
 私は、将来、皆さん方全員がノーベル賞受賞者になれるよう、今を大切に学んでいくことに期待しています。